昼はタクシー運転手をしているわけですが、しばらくぶりにお迎えに上がると、
ご利用頂いていたご夫婦のどちらかが亡くなっている、ということがたまに起こります。
今日は、先月急に旦那様が亡くなられたというお宅にお迎えに上がりました。
玄関には真新しい忌中札が立っています。
道中、
以前のように白髪ナイスミドルな旦那様が座席に掛けていらっしゃるのがみえてきました。
「コロナでとうとう最後まで会えずじまいで…、言いたいことたくさんあったのに…。」
奥様がおっしゃられると、
旦那様が泣きそうな顔に。
こんなときは、
さもよくある世間話のように、しれっと通訳をすることにしています。
「感謝しておられるんでないですか、旦那様はやさーしいひとだったので、周りの人からバカにされたくなくて威張ってましたけど。
自分の理解者は奥様だけだとずっと思ってらしたみたいですよ。」
とお伝えすると、
「大事にできなくてなんてそんな、ずっと知ってましたよ、そんなこと。昭和一桁の男なんて骨董品もいいとこですからね。」
とハンカチで目を覆われます。
結構ロマンチストなところもあったみたいで、「生まれ変わってもきっと一緒になるよ」って言ってるんじゃないですか?と笑うと
「どうしようかしらねえ。私は構いませんけど、次のときは自分のことは自分でしてもらいますよ。」
と奥さんが拗ねると、
旦那様も頭をかきながら苦笑しています。
「なんかね、お墓のことたくさん言ったけどいまは気にしてないみたいです。」
とお伝えすると、
「そうなの」
奥様が急に顔をあげて、
「どうしてそれを知っているの?」
と尋ねられたところで、目的地の病院へ到着。
ええと、
ええ、はいあの、
よく、そう聞きますよね。
死んでみないと解らないことがあるのかもしれませんよね、とお釣りをお渡ししました。
今はきっと奥様といられてめっちゃ幸せだと思いますよ、とお送りすると降車後、
旦那様が深々とお辞儀をしてくださったのがみえ、私も心からありがとうございましたとお伝えしてお別れしました。
昭和一桁もなかなかじゃないですか、
胸アツ
○○交通、乗務員の○○にあたるてえと、無料占いやサービスがついてくることもあるという、
今日はそんなお話でしたとも。